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欧米からのインバウンドに力を入れるメリットと対策とは?

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近年のインバウンドといえば中国や韓国、台湾などのアジア諸国に重点が置かれがちですが、アメリカやヨーロッパ諸国など欧米からの訪日観光客も見逃せません。彼らの傾向を探りながら、どのように対策するべきか紹介します。

欧米からのインバウンドを取り入れるには?

観光庁が2017年7月から9月にかけて調査したところによると、訪日観光客の目的は1番が日本食を食べることであり、日本の自然や景勝地の観光をする点も共通しています。ただしアジア諸国が「爆買い」に代表されるショッピングも目的としているのに対し、欧米からの訪日観光客は日本の歴史や伝統などの文化に強い関心を持っています。

この違いは訪日におけるお金のかけ方にも現れています。アジア諸国が軒並みショッピングに費やしているのに対し、欧米からの訪日観光客は宿泊や飲食、娯楽などまんべんなくお金をかけています。そのため2016年の旅行者数では上位5つのうち1位の中国を筆頭にアジア諸国が4つを占めますが、1人あたりの旅行支出ではそれ以外の国が上位4つを占めます。1位がオーストラリアで3位以降はスペイン、イタリア、ロシアと続きます(2位は中国)。

また欧米からの訪日外国人は団体のツアーではなく個人で来日しているケースが多く、滞在期間も2~3週間と長めです。目的地も東京と大阪を結ぶ「ゴールデンルート」以外に地方まで足を延ばしています。つまり日本ならではの魅力を発信し、地方での受け入れ体制を整えるのが効果的といえるでしょう。

日本側は欧米のインバウンドに何を期待しているのか

日本がインバウンドに期待するのは「長期滞在による売上」です。売上を増やすには訪日観光客に多くのお金を落としてもらう必要があり、長く滞在してくれるほどその額は多くなります。できれば地方まで行動範囲を広げてくれると、都市にいるよりも長く滞在し、日本全国が観光で潤うことができます。

そのためには爆買いブームに乗ってアジア諸国から新規の訪日外国人を増やすことも大事ですが、欧米やオーストラリアあたりへのアピールも欠かせません。旅行にお金をかける傾向があり、長く滞在してくれるからです。

先述のとおり、欧米からの訪日外国人は日本の歴史や伝統など「文化」に強い関心を持っています。単に接するだけでなく、実際に体験しながらありのままの日本を感じたいようです。

ただし、こうした「コト型」のイベントに対する満足度は低く、現状では期待に応えられていないのが浮き彫りになっています。もっと日本の文化のどこに関心を持っているのかリサーチしてアピールするべきでしょう。特に地方は魅力的なコンテンツが豊富でおすすめしやすいはずです。

欧米人に向けた取り組みはどのようなものがいいのか

欧米やオーストラリアに向けてアピールするのであれば、現地の母国語で発信するのが一番です。例えば兵庫県にある「城崎温泉」では、かねてから海外の旅行・宿泊予約サイトと提携し、欧米からの訪日外国人を増やしていました。

2015年には「Visit Kinosaki」という英語とフランス語のサイトを立ち上げて城崎温泉の魅力を発信しています。さらに城崎温泉を擁する豊岡市と民間企業が提携して、ツアー商品の企画販売やマーケティングに取り組んでいます。こうした取り組みが海外のガイドブックやメディアに取り上げられ、5年間で訪日観光客の数は36倍になりました。

城崎温泉ではVisit Kinosaki以外にもSNSを活用しています。特に力を入れているのがFacebookです。実際に欧米やオーストラリアではSNSの中でもFacebookの利用者が多く、次がYouTubeです。前者はバランスよく情報を掲載できて、後者は視覚的に訴えられます。日本で人気があるTwitterやInstagramはそれほどでもありません。欧米からの訪日観光客を取り込みたいのであればFacebookからの発信は必須といえるでしょう。

まとめ

欧米向けのインバウンド対策は、アジアの消費とは大きく異なります。ショッピングよりも体験型のコンテンツを増やし、日本の魅力をアピールするのが訪日観光客を増やすポイントになるはずです。また、その国に合わせた言語やSNSで情報を発信するのも大切です。

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