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インバウンドにおけるリピーターの傾向と必要な対策

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せっかく海外から日本に観光客が来てくれても1回だけでは意味がありません。継続して売上を増やすには「リピーター」の存在が重要です。ではリピーターを増やすには、どのようなインバウンド対策を取ればいいのでしょうか。

どこの国からのリピーターが一番多いのか

2016年に観光庁が調査したところによると、3回以上来日経験がある訪日観光客の数は香港が1位で、2位台湾、3位シンガポール、4位韓国、5位ロシアの順でした。逆に中国の訪日観光客は半数以上が初来日であり、ヨーロッパ諸国もその傾向が目立ちます。

上位5ヶ国のうちロシアを除く4ヶ国は日本に近いというアドバンテージがあるため、リピーターになりやすいようです。逆にヨーロッパ諸国にとっては日本に何度も訪れるには遠すぎるのかもしれません。

一方、回数に関係なく訪日観光客の数が多い中国やベトナム、インドネシアあたりも、訪日が富裕層以外に拡大してから日が浅いため、リピーターは少数派です。言語や習慣、宗教の問題など今後受け入れ体制が整えばリピーターの増加が見込めるでしょう。

親日国のインバウンドはリピーターになりやすい?

リピーター上位3ヶ国を見て分かるように、政治的に日本と良好な関係を築いている親日国からの訪日観光客は、永続的で安定したリピーターになりやすいようです。特に台湾は日本の文化に強い関心があり、積極的に地方へも足を延ばします。他にも3日以上の来日経験者数では、6位のタイも日本に対して好意的です。日本に対する「憧れ」という下地がある分、一度訪れると親日家になるのでしょう。

ただしその他の国でも最初は日本に対して懐疑的な印象を抱きながら、実際に訪日して良さに気づきリピーターになる場合もあります。実際に韓国からの訪日観光客で3回以上のリピーターは半数近くいます。だからこそインバウンドでは先方の印象に甘えるだけではなく、商品やサービスを通して好印象を与えたり満足度を高めたりする姿勢が重要です。

インバウンドのリピーターを増やす秘訣とは

初めての訪日は団体旅行が多く、目的地も東京・名古屋・大阪を結ぶ「ゴールデンルート」に限定されがちです。けれどもリピーターになって個人で旅行するようになると、行動範囲が地方まで広がります。実際に目的地別で訪日6回以上のベテランリピーターの数を見ると石川・富山・福井の北陸地方が圧倒的に多く、沖縄と北海道が続き、東京は関西地方よりも下です。

北陸地方の人気が高いのは、2015年3月に北陸新幹線が石川県の金沢市まで開通したのが大きいでしょう。北海道や沖縄と違って時間や日数をかけなくても十分に観光できます。それでいて「立山連峰」という壮大な自然の景観があり、「黒部ダム」や「兼六園」など独自の文化もあります。また日本食の関心が高い訪日観光客にとっては富山名物のホタルイカやブリ、石川名物のノドグロ、福井名物の越前ガニなど、新鮮な魚介類は外せません。

まさに北陸地方はリピーターが足を延ばすのに格好のエリアといえるでしょう。活性化(この場合は新幹線の開通)によって地方にリピーターを向かわせた好例でもあります。ただしリピーターの増加は同時にいくつかの課題も浮き彫りにしました。

例えば言語が通じないなど訪日観光客の受け入れ体制が整っていない上に、夜間の楽しみに乏しいという欠点もあります。今後インドネシアのようなイスラム教圏からのリピーターが増えたら、ハラール食やサラート(1日5回のお祈り)などの対策もしなければいけません。その点では日本の、特に地方のインバウンド対策はこれからも多くの改善が必要といえるでしょう。

まとめ

現時点のインバウンドでは台湾やシンガポールのような親日国からのリピーターが目立ちます。それ以外の国からの観光客でも良質なサービスを提供すればリピーターになってくれる可能性があるでしょう。そのためにはアクセスや言語、食事など不便さや習慣の違いを解消する対策が練っていきましょう。

“コンタクト”
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