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インバウンドで考えたい台湾人の訪日観光客の実態

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台湾は日本の主要都市から飛行機で3~4時間くらいのところにあり、日本人の海外旅行先として人気があります。一方で台湾人の訪日観光客も多く、2016年は約417万人と中国、韓国に次いで第3位でした。そんな台湾の訪日観光客の実態をみていきましょう。

■訪日台湾人はリピーターが多い

中国人、韓国人に比べると台湾人の訪日観光客はリピーターが多く、来訪回数4回以上が全体の半数近くを占めます。特に年齢が上がるほどその回数は多くなります。平均すると約6回です。これは1回あたりの訪日に対する満足度が9割超と高く、2年以内の再訪を希望している台湾人が多いことが影響しています。

台湾は第二次世界大戦までの約50年間日本の植民地だった時代があり、今も日本語が堪能な高齢者がいるほどです。また1994年からは日本のドラマやアニメが放送されるようになり、日本の文化に関心を持つ若者も増えています。さらに距離の近さも相まって、日本は他の国よりも気軽に訪れられる観光地となっています。

■訪日する台湾人が選ぶ人気スポット

台湾人に人気がある日本の観光スポットは、他の国と同じく東京や関西の都心部、そして北海道です。東京では浅草や銀座、上野あたり、関西では京都や奈良など古き良き日本の情緒漂う街が人気です。もちろんディズニーランドやUSJといったテーマパークも外せません。また、雪が降らない台湾にとって北海道は憧れの地でもあります。

そのため、成田に降り立った観光客が東京から大阪へと移動して関西国際空港から帰ったり、新千歳空港から北海道内をめぐって帰ったりするルートが定番です。

リピーターになると訪れるエリアの数が増え、移動範囲も広くなります。都心部から足を延ばして金沢などの北陸地方や、仙台などの東北地方、松山などの四国地方に関心を示すようです。特に台湾からの直行便が運航されているエリアは有利でしょう。

台湾人は海外文化に対して寛容で好奇心も旺盛です。こちらの方から迎合しなくても興味があれば積極的に訪れてくれるでしょう。ただし受け入れ態勢を整えてあげれば、その数はもっと増やせるはずです。

例えば台湾人は北京語が公用語なので、中国語をそのまま表示すれば分かってもらえるものと思いがちです。けれども使われる文字は中国が「簡体字」で台湾が「繁体字」と微妙に異なります。そして台湾人で「簡体字」を読めない人は意外と多いのです。また韓国と同様「儒教」を重んじ、上下関係を重視します。こういった点に配慮してあげると好感を持ち、リピーターになってくれる可能性が高まるでしょう。

■訪日する台湾人の情報収集方法は

そんな台湾人の情報源は他の国と同じくインターネットが中心です。SNSは日本でも利用者が多いFacebookやInstagram、LINEが愛好されているので、インバウンド対策の一環としてアプローチしやすいでしょう。「繁体字」は日本の漢字と近く、日本語を第二外国語として学んでいる台湾人が多いこともあり、普通に日本語で書かれたSNSでも関心を示してくれます。

意外なところではポータルサイトも活用されています。日本で言えばYahooやGoogleです。台湾独自の「PChome」というサイトも人気です。また訪問したい自治体や店舗のWebサイトもよく見られています。インバウンド対策ではこうしたところへの働きかけも重要になるでしょう。

そして何よりも影響力が大きいのは実際に訪日経験のあるユーザーが投稿した体験談や口コミです。テレビや紙媒体など他のメディアを圧倒します。日本でも「インスタ映え」という言葉があるように、視覚的に訴えるものほど興味を惹きやすいようです。例えば北海道の雪景色、一面のラベンダーやひまわり畑、奈良の鹿、テーマパークの光景などです。

今はまだそれほど台湾人の観光客が多くない地域でも、魅力を分かりやすく提示できれば目的地の1つになることが期待できるでしょう。それは他の国よりも比較的容易なはずです。

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